「子供がいないから、将来の財産はすべて配偶者にいくはず」
そう思っていませんか?しかし、前回の記事で解説した通り、遺言書がないとあなたの遺産の一部は親や兄弟姉妹に渡る可能性があります。
「対策が必要なのはわかったけれど、自筆でいいの?それとも公証役場に行くべき?」
「最近始まった法務局の保管制度ってどうなの?」
この記事では、子供がいない夫婦が「愛するパートナー」を守るために選ぶべき遺言書の作り方を徹底比較します。
最も身近な「自筆証書遺言」:手軽さと裏腹にあるリスク
遺言書と聞いて多くの人が思い浮かべるのが、自分で紙に書く「自筆証書遺言」です。
これは、ペンと紙(と印鑑)さえあれば、今この瞬間からでも作成できる最も手軽な方法です。
自筆証書遺言のメリット
- いつでも無料で作成できる: 費用をかけずに、自分のタイミングで書くことができます。
- 内容を秘密にできる: 誰にも内容を知られることなく、自宅で保管できます。
自筆証書遺言の注意点
しかし、自筆証書遺言には注意しなければいけない点があります。
- 形式不備による無効: 民法では遺言の方式を規定しており、方式を満たさないものは無効になります。
- 紛失や隠匿: 本人が遺言書の場所を忘れてしまったり、誰かに見つけられて改ざん・隠匿されたりするリスクがあります。また、相続の時に遺言書を見つけてもらえないと意味がありません。
- 相続人の負担(検認): 亡くなった後、残された配偶者は裁判所に遺言書を持っていき、「検認」という手続きを必ず受けなければなりません。相続人全員の戸籍謄本が必要なので、数か月に及ぶ場合もあります。それまでは金融機関や不動産の相続手続きもできません。
こうしたデメリットを解消するために登場したのが、次に紹介する『法務局の遺言書保管制度』です。
「法務局の遺言書保管制度」とは
2020年から始まった「自筆証書遺言書保管制度」。法務局で遺言書を預かってくれる画期的な制度です。
メリット
- 費用が比較的安い: 保管手数料は3,900円(本記事執筆時点)。閲覧その他には別途費用がかかります。
- 紛失・隠匿のリスクなし: 法務局が原本を管理するため、失くしてしまう心配がありません。
- 検認が不要: 本来、自筆の遺言書に必要な「裁判所の検認」が不要になり、相続手続きがスムーズになります。
遺言書保管制度の注意点
法務局は「自筆証書遺言の形式」はチェックしてくれますが、「内容が法的に有効か」「将来トラブルにならないか」までは保証してくれません。
せっかく預けても、中身の書き方が曖昧だと、結局銀行で「これでは名義変更できません」と言われるリスクが残るのです。
確実性を求めるなら「公正証書遺言」
「少し費用がかかっても、間違いのない遺言書を作って安心したい」という方は、公正証書遺言がおすすめです。
- 高い安心性: 公証人(元裁判官など)が作成するため、形式不備で無効になることはまずありません。
- 証拠力が極めて高い: 「本人の意思で書いた」ことが公的に証明されるため、後から親族に「認知症だったのでは?」などと疑われるリスクを最小限に抑えられます。
- 配偶者の手間が最小: 亡くなった後、すぐに手続きに入れるため、凍結された口座の解除なども最速で行えます。
【徹底比較】あなたに合う遺言書はどれ?
子なし夫婦が選ぶべき遺言書のスタイルを、3つのパターンで比較しました。
| 項目 | 自筆証書(自宅保管) | 法務局保管制度 | 公正証書遺言 |
| 費用 | 0円(実質無料) | 3,900円 (閲覧等に別途費用あり) | 数万円〜(財産による) |
| 形式不備のリスク | 高い(無効の恐れ) | 低い(外形確認あり) | ゼロ(プロが作成) |
| 紛失・隠匿 | あり得る | なし(国が保管) | なし(公証役場保管) |
| 検認の手間 | 必要(数ヶ月かかる) | 不要 | 不要(即手続き可能) |
| おすすめの人 | 自分で正しく作成できて 自分で保管できる方 | 自分で正しく作成できて 費用を抑えて保管したい方 | 絶対に失敗したくない方 配偶者に面倒をかけたくない方 |
失敗しない遺言書作成の第一歩は「プロへの相談」から
「自分の場合はどちらがいいの?」「文案はどう書けば完璧?」と迷ったら、まずは専門家の意見を聞くのが近道です。
いきなり公証役場に行く必要はありません。最近では、オンラインや電話で「相続の無料相談」を行っている士業サービスも充実しています。
- 自分の考えた文案に不備がないか?
- もっと節税できる方法はないか?
これらを一度プロに確認しておくだけで、将来の配偶者の安心感は10倍変わります。
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「まだ早い」と思っているうちに、健康状態や判断能力が変わってしまうのが相続の怖いところです。相談だけなら無料の場所も多いので、まずは情報収集から始めてみましょう。
まとめ:準備こそが「最高の愛」の形
子供がいない夫婦にとって、遺言書は単なる書類ではなく、残されたパートナーが今の家で、今の生活を続けるための盾になります。
- まずは今の財産をリストアップする
- 「保管制度」か「公正証書」か決める
- 迷ったら専門家に相談する
このステップで、大切な人を守る準備を今日から始めてみてください。

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